伊達男の映画批評

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超実力派俳優4人が集結!「ラスト・ベガス」レビュー


『ラスト・ベガス』予告編

作品・出演者情報

監督

ジョン・タートルトープ

キャスト

個人的レビュー

少年時代から一緒にいた4人組の老人たちが、60年の時を経て再集合する物語。

いつまでも遊び心を忘れない4人は、仲間内で唯一独身だったビリーが若い恋人と結婚することになり、挙式のために全員でラスベガスで顔を合わせる。ビリーの独身最後の夜を思いっきり楽しむため、バチェラー・パーティーを開催する。各々が楽しむ中、パディはビリーとの間に58年間の確執が生じていた。

本映画の構成は、4人組のおじいさんが終始楽しんでいるストーリーだ。しかし、それと並行するようにビリーとパディの確執は最後まで描かれている。コメディとして笑いが多い中にも、どこかトゲのある描写が続き、視聴者を「心配」させる。

人間誰しも、子供から大人へと成長するにつれ、思考や行動は変わっていくものだ。4人組の中でも家庭を持った経験のあるパディ、アーチー、サムの3人は年相応の思考をしている。要するに現実を見て歳をとってきたのだ。

しかし、ビリーは唯一の独身ということもあって、子供の精神をずっと引きずって生きてきた。その際たる証拠が、愛の介在しない若い女性と結婚するという選択に現れていた。この違いこそ、ビリーとパディの確執につながっている。

アーチーとサムはこの二人の確執を十分に理解した上で、あえてラスベガスにパディを連れてきている。仲直りさせるとかそういうマインドではないはずだ。純粋に、少年時代の楽しい思い出を再現したいと思っている。ラスベガスに連れて行きゃどうにかなると思っていたのだろう。

私も少年時代を一緒に過ごした友人はいたが、高校、大学、そして社会人と成長していくにつれ、関係は薄くなっていった。あんなに仲が良かったのに、もう連絡先すら知らないような友達も多い。

田舎から東京に出てきたこともあって、地元の友達と仲良く遊ぶ機会はほとんどなくなった。多分、作中の4人のような関係になれる友達はいない。だから、この映画を見ていてすごく羨ましく思った。

とはいえ、まだ私は25歳。人生はまだまだ続く。キャリアを積んで人生を飾っていっても、少年の日の原体験は忘れたくないものだ。

このタイミングで一旦連絡を取ってみようか?

今どき、電話じゃなくてズームで繋いでしまえば顔を見て話すことだってできる。忙しなく過ぎていく日々の中で忘れかけていたものを思い出させてくれた本作に感謝したい。

40年後の自分が、前向きに歳を重ねて笑顔で過ごしていてくれたら嬉しい。

良かった点

言わずもがな、超豪華なキャストは素晴らしかった。こうした豪華なキャストを起用する映画では、たまにストーリーがショボい。キャストを見たときにその不安が頭を過ぎったが、本作はストーリーも良かったと思う。

ただ4人組の爺さんがはしゃぐのではなく、それぞれが送ってきた人生の幸福と後悔が描かれており、観る側の感情を揺さぶるのだ。それは4人組だけではない。本作のヒロイン的ポジションで登場するダイアナを通しても描かれる。

マイケル・ダグラスロバート・デ・ニーロモーガン・フリーマンケヴィン・クライン錚々たるキャストの個性が光る配役である。

個人的には、ラスベガスはロバート・デ・ニーロが映えるイメージがあったのだ。しかし、それに劣らずマイケル・ダグラスが主役を張っていたのがとてもすごいなと思う。個々のイメージが強いが、調和の取れた作品になっていた。

残念だった点

個人的に残念な点はない。しかし、アーチーがブラック・ジャックで大勝ちするシナリオは別の描き方でも良かったかなと思う。

少年時代はお金なんてなくても、4人でいるだけで楽しかったはずだ。それは60年経っても変わらず、ブラックジャックで大負けしてボロ宿に泊まるようなシナリオでも一貫性があって面白かったのかなと思う。本作を鑑賞した後だから言えることかもしれないが、あの4人ならどちらのシナリオでも最高の作品になっていたのではないだろうか。

いつかifの世界を描いたアザーが出たりしたら面白いな。

終わりに

超豪華なキャストに負けないシナリオで、考えることも多かった。

とはいえ、基本的にはコメディ映画。

気分が落ち込んだときに見れば、人生楽しんだもん勝ちだなとポジティブに思えるはずだ。

そんな時代もあったねと

いつか話せる日が来るわ

あんな時代もあったねと

きっと笑って話せるわ

中島みゆき『時代』より

中島みゆき『時代』の一節だ。

この映画を見終われば、この歌詞を思い出して過去が懐かしく感じられるだろう。

昔の友人に連絡をしてみよう。

今はその気になれば、いつだって繋がれる時代なのだから。