伊達男の映画批評

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人間のすべての欲が詰まった名作「ウルフ・オブ・ウォールストリート」レビュー


『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 予告編

作品・出演者情報

監督

マーティン・スコセッシ

キャスト

個人的レビュー

金持ちになりたい、いい女を侍らせたい、とにかく「覇者」になりたい。

人間誰もが一度は思い描いたことのある理想像に向かって、レオナルド・ディカプリオ演じるジョーダン・ベルフォートが成り上がる様を描いている。

この作品を観て、個人的には気持ち良さを感じた。

今の日本じゃ絶対に描けないだろうなという圧倒的な世界観。マネー・セックス・ドラッグの三拍子揃った名作と言えよう。

映画のカテゴリとしては伝記もしくはコメディにあたるが、あまりにも現実離れしているということもあってファンタジーと言ってもいいのでは。笑

人間の欲望をそのまま描いたような本作だが、実話だ。ジョーダン・ベルフォートは存命の作家で、2006年4月に22ヶ月のムショ生活を終えた。

ブローカー、社長として栄華を極めたベルフォートは、ムショ生活のあと本作のような映画の収入や講演活動を通して暮らしている。おそらく、日本だとこうした暮らし方はできない。思いっきり叩かれるだろうし、そんな人をスピーカーに呼んでしまったら主催者が叩かれるだろう。その辺はアメリカらしく寛容なのだろうか。

映画の話に戻ると、レオの演技力が光る作品だったことは間違いない。ジョーダン本人ではないものの、その振る舞いやメッセージの強さはまさにカリスマ的だ。役を自分のものにするのが上手すぎる。

特に驚いたのは、ドラッグをキメる時の仕草や顔つきが中毒者のそれだったこと。実生活でキメているわけでもないのに、慣れた手つきで吸っているのは役者としての振り幅がすごいなと思う。タイタニックのレオの印象が強いからそう思うのかもしれないが。

もちろん作品の内容としては違法行為が多分に含まれているため、このままマネしろというのは無理な話だ。しかし、人生の目標に向かって手段を選ばずに突き進む姿は見習うべきところだ。せっかく入社してブローカーの資格(証券外務員)を取得したのに、オイルショックで水の泡になったところから這い上がっていく。逆境をバネにして乗り越えていく姿は、観る人に勇気をくれると思う。

ちなみにこの冒頭の求人情報を見るシーン、個人的にはジョーダンの奥さんの存在がとてもいい味を出していると思った。というか、これもまた人生の教訓のように感じられた。自分の価値観がぶれそうになった時、近くでそれに気づいて修正してくれる人がいることの大切さが描かれている。あの時奥さんが何も言わなかったら、彼はブローカーのキャリアを捨ててしまうところだった。追い込まれた時に支えてくれる人の存在は本当に大切だ。ああ、彼女なし独身には響くぜ。

まあ、結局事業が成功したタイミングで調子に乗って不倫して奥さんを捨ててしまうのだが、それはジョーダンの人間性ということで片付けておく。

監督の遊び心なのかもしれないが、実は作品のモデルとなったジョーダン・ベルフォート本人が出演しているシーンがある。ラストのシーンで、レオ演じるジョーダンが講演活動をスタートさせるが、その時に司会をしている人物こそがジョーダン・ベルフォート本人だ。ほとんどの人が気づかないと思うが、映画を観る前にジョーダンの講演を視聴していたので気づくことができた。彼の講演が気になる方は以下のリンクから少しだけ見ることができる。


ストレートライン_ジョーダンベルフォート

悪いことをして捕まった過去はあるけれど、世のビジネスパーソンに求められている商談のクロージングスキルのプロフェッショナルであることは間違いない。話し方や所作を含め、ぜひ一度観ておくことをおすすめする。

良かった点

本作の良かった点は、主演にレオナルド・ディカプリオを持ってきたキャスティングだろう。映画で語られるベルフォートの伝説のスピーチは、レオだからこそあの迫力があったと思う。

人のやる気を引き出すペップトークは日本人は本当に苦手だ。映画の中での演技とはいえ、どうしたら自信ありげに堂々と話すことができるのか、視線の運びや強調しているフレーズ、繰り返し伝えているメッセージを読み取って真似してみてほしい。スマートな上司もかっこいいけど、やっぱり情熱を持ってチームをまとめ上げるカリスマに人は惹かれるものだ。参考にしてほしい。

あと、新しい奥さんになったナオミ役はマーゴット・ロビーが務めている。めっちゃきれいな女優さんで、ハーレイ・クイン役でも有名だ。めっちゃエロいから男性はそれも楽しみに見るといいのでは。笑

残念だった点

残念というか、日本社会ではこういったストーリーは美談として語ってはいけない風潮が強い気がする。そのため、この作品を通して伝えたいメッセージが全然刺さらない人が多いかもしれないと思った。

さすがにドラッグやら不正やら許されるものではないが、こういう物語こそ教訓にすべきポイントを切り取ってモチベーションを高めていくために使っていくことができる社会になるといいね。

週刊誌の不倫報道とか、人の足を引っ張って喜ぶのはもうやめにしよう。いいところを見つけて、真似していく。いい方向に進める意識を大切にすれば、この作品から多くのことを学ぶことができるだろう。

終わりに

現実離れした本当の話だが、まだモデルの人物が生きているという点でも早めに観ておくべきだろう。

人を導く天才の物語。ぜひ自分の人生に生かして、より豊かに生きていこうではないか。