伊達男の映画批評

AmazonプライムかHuluかディズニープラスで見た映画の感想を書いています。

子犬を殺されたからもう絶対に許さない「ジョン・ウィック」 レビュー


キアヌ・リーヴス復活!『ジョン・ウィック』本予告編

作品・出演者情報

監督

チャド・スタエルスキ

キャスト

個人的レビュー

キアヌ・リーブスの迫力満点のアクションが楽しめる作品で、非常に面白かった。

人によって大切にしているものはそれぞれだ。ガソリンスタンドで見かけたマスタングを狙った強盗に、ジョンが大切にしていた子犬を殺されてしまったジョンは、殺した本人にえげつない復讐を仕掛ける。

前職が殺し屋だったジョンは、裏社会では非常に有名な存在だった。一度標的にすれば、絶対に外さない。どんな手段を使っても確実に仕留める。

実は強盗に入ったのはかつてジョンを雇っていたロシアンマフィアのボスの息子だった。ジョンの凄さを知っているマフィアのボス・ヴィゴは、どうにかして彼を敵に回さないように交渉する。が、もはや聞く耳を持たない彼に対して説得を諦め、手下に襲撃を指示する。が、伝説の殺し屋は簡単に全員を返り討ちにする。怒れるジョンは手が付けられない。手下を返り討ちにされた事実を知り、ヴィゴは200万ドルで殺し屋にジョン殺害を依頼する。

ジョンが息子を狙っていることを知ったヴィゴの、冷静ながら慌てている姿は焦りが伝わってきて非常に良かった。ロシアンマフィアのボスがここまで恐れる殺し屋。視聴者にはジョンの過去描写がない状態だったが、どれだけの凄腕だったのかが想像できた。

この作品において重要になるのがコンチネンタル・ホテルだ。このホテルでは殺し屋たちが仕事をしてはいけないという鉄の掟で守られている。ホテルの支配人も非常に不気味だ。個人的には、「あ、多分終盤でこの支配人が掟を破った殺し屋を始末するな」と勘付いてしまった。ストーリーの構成上仕方ない部分ではあるが、もう少し表面的には普通の高級ホテルとして描かれていても良かったのかなと思う。

ヴィゴがジョン暗殺を命じた殺し屋の中には、ジョンの旧知の仲であるマーカスもいた。マーカスはジョン暗殺を表面的には受諾するものの、殺す気はない。むしろ、他の殺し屋に狙われているところを助ける。例えばコンチネンタル・ホテルで休んでいるところを殺し屋に狙われた時、マーカスはジョンの部屋に殺し屋のパーキンズが侵入したことに気づき、枕元を狙撃してジョンに知らせる。ジョンは間一髪のところでパーキンズに気づき、ことなきを得る。

視聴者目線ではマークスがジョンを助けようとしているようには見えない描写になっている。殺し屋としてジョンの命を狙っているように見えて、狙いを外してしまっているだけのように見える。ここは視聴者によって見方が分かれるかもしれない。ジョンとマーカスが旧知の仲であることは描写があるし、見方によってはジョンを助けるだろうなと思いつつ、マーカスが任務を遂行する冷酷なタイプだと思って見ている人にはジョンを殺そうとしているように見えるだろう。この辺の見せ方は上手いなと思った。

この映画はストーリーがとてもシンプルだ。大切にしていた子犬を殺された伝説の殺し屋が、復讐のために裏社会に舞い戻る。それだけの話。正直言って展開が読めてしまうのでそこまで面白いとは思えないが、キアヌ・リーブスのアクションは圧巻なのでそこは見ていて面白かった。

良かった点

良かった点はキアヌのアクションシーン。キレッキレで見ていて爽快だった。

あとは、普段からホームレスのような生活をしてみたりとハリウッド俳優らしからぬニュースで世間を賑わせるキアヌの俳優としての凄さを見せつける映画だったように思う。

特に冒頭で子犬が殺され、血を拭いているシーンは復讐心に支配された様子が伝わってきた。ああ、これはもう何があっても犯人を許すなんて展開はないんだなとわかったし、見ている側もジョンに感情移入してしまったのではないだろうか。

残念だった点

残念だった点は、ストーリーが単調だった点と、犯人(ヴィゴの息子)を仕留めるシーンがあまりにも簡単すぎたことだろう。最後はそんなに簡単に殺すんかいと拍子抜けした感じは否めない。

また、最初のナイトクラブでターゲットに逃げられたのが伝説の殺し屋という設定上は雑だったなと思う。あれだけ隙だらけで逃げるターゲットを仕留められない殺し屋ってなんだよと思ってしまった。それまでのジョンの描写では、大人数を相手にしても淡々と仕留めていた描写があったのだから、もう少し丁寧に描けたのではないかと思ってしまった。

終わりに

本作でのキアヌのアクションは見どころ満載だ。千葉真一の演技からアクションと芝居を学んだとインタビューに答えていたキアヌの本気のアクションをぜひ楽しんでほしい。